構造設計の役割
建築設計には大きく分けて、意匠設計、構造設計、設備設計があります。
この3つの分野を結集して、それぞれに調和をとることで建築の設計が成されます。
「意匠設計」は、敷地の条件や周辺の環境に対応しながら建築物の配置を決定して、内外観や間取り構成、さらには造作や装飾をデザインすることです。皆さんが「建築設計」という言葉を聞いた時には、この意匠設計のことを連想されている方が多いのではないでしょうか。
「設備設計」は、快適な室内環境のための空調設備、上下水道を設置する衛生設備、コンセントや照明を配備する電気設備を担当します。
そして、「構造設計」は建物の土台と骨組みを設計することで、積雪や地震などに対する安全性能を満たすものです。簡単に言うと、建築物が壊れないように柱や梁の性能/形状/配置を決定することです。
日本においては、古来より度々地震による被害を受けてきました。その中で構造設計や耐震技術が進歩してきたわけですが、近年では耐震偽装問題の発生や東北地方太平洋沖地震の発生によって、建物の安全性について不安を持たれている方も多いのではないでしょうか。
阪神・淡路大震災の写真
柱のせん断破壊


耐震壁付き柱のせん断破壊


中間階の層崩壊


中間階の層崩壊


配筋検査の写真
配筋検査全体写真


柱筋の配筋検査状況


壁筋配筋検査


柱筋配筋検査


私たち構造設計者は、上述の原理に基づく計算や経験によって建物を設計し安全な建物を提供する手助けをしています。また、構造設計者が関与することにより、住んでいる人に安心を提供しています。